たしの体<仕事

病院で紹介状とレントゲンをもらって帰宅したら、もう20時過ぎ。でも間違いなく会社に人はいる。わたし、いつもだったら20時なんて会社だし。そんなわけで、まず会社に電話をかけた。マネージャーが珍しくいたので取次いでもらって、まず病気のことを話した。地元の病院へ行くこと、たぶん入院になること、しばらく仕事はできないこと。このマネージャーという人は、以前は医療機器メーカーに勤めていただけあって、わりと病気には詳しい。だから「肺に穴があいた」と言っただけで「気胸かぁ〜」とすぐわかってくれた。それで、しばらくは働けない状態になることもわかってくれた。

でも、開発リーダー(直属の上司)はわかってくれなかった…。(涙)

電話をかわるなり第一声が「明後日スタートの○○はできてるの?」だった。オイオイ、それかよ。できてねーよ。本当は今日テストして、明日修正するつもりだったんだよ。(心の叫び)大きい仕事はひとつと、チマチマした仕事がたくさんあって、「とりあえず今抱えているのを全部説明して」と言われたけれど、もうどうにも電話だけでは伝わらない。ボキャブラリーが足りないとかそういう次元じゃなくて、開発リーダーが最末端のわたしの仕事を把握しきれていないということで。わたしの直の先輩に話せば通じるところが、あいにく先輩は帰社しちゃっていて(珍しく早い!いつもなら終電近くまで一緒にいるのにー。あ、わたしがいないから帰れたのか!)、しょうがないから明日実家に行く前に会社に寄ります…ということで合致。つーかそんな余裕がわたしにあるのか?しつこいようだけど、会社って切ない。


次は実家に電話。兄と同じ病気だったよ、と。明日どうやって実家に戻るかを電話の向こうで母と父が話し合い、こっちにいる兄に送らせることが決まった。あと、行く予定の病院の副医院長が父の友達らしく、色々と手回しをしておいてくれるらしい。何せ、この病院、数年前に移転していやにでっかくて立派になっちゃって、地区最大の病院?だと思う。ガンになったらここしかない。放射線治療もここしかない。そんな病院。

胸が痛くて背筋を伸ばせない。老人のような前屈み状態で夕飯を食べ、シャワーを浴び、ともかく寝てしまおう。明日は車で会社に行って引き継ぎして、それから兄に実家まで送ってもらって…。そこまでこの肺もつのかなぁ?まだ半分だけど、ぺっちゃんこになったりしないのかなぁ?そんな心配をしつつも、実はそんなに危機感はなく、大っぴらに仕事を休めることがちょっとラッキー☆なんて思っていた。浅はかだったよ、わたし。だって、余裕ぶっこいて素で煙草も吸ってたし。これから起こるあの悪夢のような日々をまだ知らなかった。


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