腔ドレーンかカテーテルか

紹介状とレントゲンを持っていざ病院へ。大きな病院だから手続きの仕方がよくわからない。まず受け付けに行くと、初診用の用紙に細かく記入してくれと言われる。手本を見ながら記入。これが結構面倒臭い。胸は痛いし、呼吸は苦しいのに。それを出すと受付表と診察券を渡される。これを持って呼吸器内科の窓口へ行けと。呼吸器内科の受付を済ませて、ひたすら待つ。覚悟はしていたけど、座る場所もないくらいの大繁盛状態。いくら苦しくても、お年寄りを押し分け座るわけにはいかない。母と隅っこの方で邪魔にならないように立ってひたすら待つ。1時間ほど待ったところでやっと呼ばれた。

30代半ばのでかい先生だった。渡したレントゲンを見て一「気胸ですね」と一言。そうだよ、知ってるから、んなこと。それで、とりあえずもう一度レントゲンを撮りましょうということになる。レントゲンの受付用紙を渡されて、これを持ってX線検査室へ行ってレントゲンを撮り、すぐに出来上がるからそれを受け取って戻って来て下さいと。大きい病院はシステムが面倒臭い。実に面倒臭い。そしてレントゲン室は内科外来の場所から遠かった…。気胸だってわかってて歩かせる医者もどうかと思う。今ならそう思う。どうかと思うよ、先生!!

レントゲン室で再び待たされ、レントゲンが出来上がるまでまた待たされ、それを持って内科へ行けばまたまた待たされ。病院に着いてから3時間半かけて、やっとやっと何かしらの処置がしてもらえる状態になる。

この呼吸器内科の先生は、妙に威圧感のある人だった。医者はえらそうだ!を絵に描いたかのような人。気胸の処置として胸腔ドレーンかカテーテルがあると説明してくれた。ドレーンは入院。カテーテルは帰れる。説明以上。どっちにしますか?説明30秒でいきなり答えを求められても。確か兄はドレーンってやつだ。入院していたし。でもそれは5年も前の話で、あれから医学は進歩し入院しなくても良い処置があるんだろう。でもカテーテルって何だ?どんなもの?返答に困っていたら先生は早くしてよ!的な雰囲気で「どっち?」と。なんかイヤだ、この先生。怖い。さらに返答に困っていたら、「入院だと手続きも面倒だしカテーテルで良いんじゃないですか?帰れるし」と勝手に決定してしまう。そうと決まれば素早い。一応「手術」の部類に入るものらしく、あれこれと同意書のようなものにサインをさせられ、ハンコの代わりに拇印をし、じゃあ処置室へ…。

診察室を出ると母が心配そうに「どうなるの?」と聞いてくる。

「カテーテルってのを今からやるんだけど、それだと帰って良いんだって」

「入院しないの?」

「しないで良いみたいだね」

「ふーん。で、そのカテーテルってどんななの?」

「さぁ?」

「さぁって…。大丈夫なの?」

「さぁ…」

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