き出す血

横になって寝ることを放棄した入院生活だった。

痛み止めの点滴を24時間ずっとしているせいか頭の方も24時間ずっとボーっとしたままで、ちょっとテレビ見てうとうとして、ごはん食べてうとうとして、隣のおばさんと喋ってうとうとして、また夜になって真っ暗の部屋で、横になることもできず、ベッドに座ったまま寝たり起きたりを繰り返し、そのうち朝が来て。

もともと肺の萎み具合がそんなにすごくなかったせいか、通常の気胸に比べて膨らむのも早かった。お兄ちゃんはもっと何日も何日もかかっていたから。朝食後、午前の回診前にX線の呼び出しがかかる。病棟からは遠く離れた検査室まで行って、その日の回診時に先生から今日はどうだったとか説明をされる。入院から4日目の朝、その日も朝からX線を撮って、回診までベッドに座ってボーっとしていた。相変わらず背中はありえないほど痛いし、トイレに行くのも一苦労だし、鎖骨下に刺さったままのカテーテルは怖くて直視できないし(何か中の弁に血が溜まってる!)、寝たり起きたりで熟睡できないから体はしんどいし。たまらん。マジでたまらん。もう帰りたい。そんな思いが頂点に達しようとしていたこの頃、本当に帰れることになった。

朝のX線の結果、肺は見事に膨らんでいた。というわけで、その日の回診時にカテーテルを取り外すことになって、あの不躾で横柄な先生が説明もないまま「取りますね」と一言、痛いって言ってるのに無理矢理ベッドに寝かされ、(マジで死ぬかと思った。この人容赦ないよ…)カテーテルを固定しているテープを外し、「ハイ、息吸ってー…、止めて」、んんっと息を止めたところで力任せ風にカテーテルをズボっと抜かれた…、その瞬間、寝てるわたしにも見えるくらいそのカテーテルを抜いたであろう場所から血が小さい噴水のように吹き出している。

血、血、血が…!!!!

先生もそれは予想外だったみたいで、ちょっと焦って看護士に「脱脂綿、それにガーゼ!」と指示を出し、急いで止血。えー、何コレーっていう目のわたしに、「大丈夫ですからね。抜く時にちょっと空気が逆流しちゃったかな」なんてワケのわからん説明をして、血が止まったのを確認すると「縫っておきましょうか」なんて。そんで急遽縫う羽目に。本当なら縫わなくても良かったらしいのに…。

で、また痛い痛い麻酔を肉のない鎖骨下にブスっと刺され、ちょちょちょっと縫われておしまい!カテーテル取ったら予想通り背中の痛みもなくなって、入院して初めてまともに眠れる夜を迎えられた。明朝のX線で問題なければ退院できることも決まって。

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