T字帯と尿カテーテル

寒いと訴えているのに誰も聞いてくれなくて、気付けば病室に到着。ストレッチャーからベッドにうつされる。頭も体もまだまだボーっとしているから、もう看護士さんたちにされるがままのわたし。手術着の横のスナップボタンを全部はずされ全裸になる。寒いっつってんじゃん!と思うけど声も出せず。うわー、わたし今素っ裸だなぁと人ごとみたいに思っていたら、目の前にいる看護士は松井さんだった。松井さん…。高校の同級生…。(涙)2人がかりで腰を持ち上げられ、何してんのかと思えばT字帯をはめられているところだった。アレですよ。簡単に言えばフンドシ。手術したらみーんなフンドシ。フンドシつけられて初めて股間の違和感に気付いた。

あ…。これが噂のカテーテルってやつか…。

尿の管ですよ。おしっこするやつ。手術室で麻酔中に入れられたってことだよね。ってことは今更だけど男前のY先生にも股間見られているってことだよね…。ほんと、何をいまさらなんだけど…。

T字帯の装着が終わったら脱がされた手術着をまた着せられて、携帯用の酸素マスク(?)からベッド上についている酸素マスクに交換されて、上から布団を被せられた。なんか他にも色々されていたかもしれないけど、見えないし覚えていない。松井さんにフンドシされた恥ずかしさだけはよく覚えているんだけど…。(涙)同窓会とかでさ、「そういやこないだ元さんが入院してさー、手術しちゃってー、わたしフンドシつけてあげたんだよー☆」とかネタにされるんだぜ。間違いない。T字帯の次は白ストッキング。バレリーナの履くやつみたいな真っ白のストッキング。エコノミー症候群防止のために履くらしいけど。T字帯とストッキングは手術前に自腹で売店で買って用意しておくの。このストッキング、おっさんが履いてると超おかしいんだよ。(笑)何度か病棟で見たけど、何であんなの履いてんのかなー?ってずっと思ってた。

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左脇下からはドレーン。胸と右手の人差し指には心電図。口と鼻には酸素マスク。そして左腕に点滴。あれ?左腕??手術前は確か右だったような…。右の点滴があったであろう場所にはガーゼが貼ってあった。どうやら麻酔中に点滴をうちなおしてくれたみたいだ。(笑)しかも左腕の点滴、全然痛くない…。

たぶん少し眠っていたみたいで、気付いたら消灯時間は過ぎているらしく病室は暗かった。ああ、夜なんだなぁと思ったら、そこらじゅうが痛くなりだした。麻酔の効き目がなくなったみたい。もうどこが痛いかわからないけど、あっちもこっちも痛い。手元にあったナースコールを迷わずに押した。看護士はこうなるのをわかっていたみたいで、来た時すでに痛み止めの座薬と注射を持っていた。「痛い…」と訴えたら、わたしの様子から座薬は無理だと判断したようで肩からブスっと注射。注射、痛いはずなんだけど何かよくわかんなくて、痛みが和らいできたなあと思ったらまた眠っていた。


次に目が覚めたらまだ夜で(時間はわからない)、今度は背中が痛かった。床ずれだ。寝返りうったり、伸びをしたいんだけど、全然できない。一応床ずれ防止のクッションが背中に入っているけど、あんまり効果ないみたいで。そっからはもう眠れなかった。痛い痛い痛いー…と思いながら天井眺めて、辛うじて動かせる右手で枕元のMDウォークマンを操作して、エンドレスに「ゆず」を聞いていた。気を紛らわせるのに音楽は最適だ。


ゆずを聞いて痛みを紛らわしながら思った。こんな思いはもう二度としたくないと。そしてそのまま夜が明けた。


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