手術しましょうか
今回も同じく心血呼外科の病棟。東棟3階。Y先生と看護士に連れられナースステーションの前まで来ると、顔見知りの看護士さんたちが「あれー、もう戻って来ちゃったの?(笑)」と口々に言う。そうなんですよ。もう戻って来ちゃったんですよ。ははは。はぁ。(ため息)恒例の身長体重測定。前の入院時よりマイナス2キロ。若い看護士さんが「うわー、ほっそーい」と。気胸になってさらに痩せたんですよ、ええ。
病室は前回の隣の隣。4人部屋の廊下側。前もその前も廊下側だったし。窓側の方が私物を置く場所が多いから良いなあ…。向かいのベッドは子宮ガンで子宮全摘手術をした川澄さん。隣は子宮ガンの抗ガン治療ターン中の笹島さん。斜め向かいは子宮ガンの抗ガン治療ターン待ちの平田さん。だけど今は帰宅中で留守。話によると23歳の子らしい。23歳でガンだよ…。子宮ガン…。前もそうだけど、ガンの人ばっかりだ…。
今回も一応「緊急入院」扱いで急所ベッドを用意された上に、病室へ来たら既に体から血の通っている(実際は血の混じった胸水なんだけど)管を垂らした貧相な女が来たもんだから、同室の川澄さんのご家族も笹島さんもびっくり顔。川澄さん本人はついさっきICUから出たばかりのようでぐったり憔悴気味。
荷物の整理をしていたら(主にお母さんが)看護士さんが呼びに来た。入院手続きだ。お母さんはナースステーションの方に行ってしまって、苦しくて喋るのもままならない状態だけど隣の笹島さんが色々喋ってくるので、適当に相槌を打ったりしていた。おばちゃんは基本的によう喋るなあ。(笑)またも顔見知りの看護士さんが来て、採血とアレルギーチェックの注射を2本。それから検温と血圧測定と酸素量検査。やっぱ酸素がギリギリということで酸素マスク装着。鼻と口のまわりがモゴモゴするけど呼吸が楽になる。一息ついてお母さんも戻って来たところで、またも別の看護士さんがやって来て、有無を言わさず痛み止めの座薬をケツの穴にブスっと。もうこれも慣れたもんだなぁ。痛み止めが効いてきたのか頭がボーっとしてきたところで(寝不足だし)Y先生が来て、ドレーンの調節。説明によるとおそらく明日明後日には手術になるから、それまでにある程度膨らませておかないといけないとのこと。ぺちゃんこだと手術できないんだって!もしかしたらCT撮るかもしれないし。これでもっと痛くなったら注射打つからナースコール押してねと言われた。
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そんなこんなで夕食になって、食欲ないからほとんど食べず、待てどもO先生は来ないからお母さんも帰ってしまって、ひとりボケーっとしてたら薬剤師が来て処方された痛み止めの説明をして、昼過ぎの座薬から規定時間が過ぎたので看護士がまた座薬をしてくれた。慢性的に続くドレーンの痛みと、痛み止めのせいでいくらかボーっとする頭。何をしていたのか全く覚えていないけどいつの間にか消灯時間になって、うとうとしていた。
どのくらいうとうとしていたか、急にカーテンが開いてベッド上の小さな治療灯がつけられ、びっくりして目を開けたら病棟でいちばん怖い(わたし的に)おばさん看護士と、やっぱり手術着で汗まみれのO先生がいた。えーっと思ってサイドテーブルの眼鏡をはめて時計を見たら23時半…。えっらい長い手術だなあ…。
(↓ものすっごい小声の会話)
「遅くなってごめんね」
「手術、お疲れさまです」(酸素マスクを外す。じゃなきゃ喋れない)
「ははは、どーも」(ドレーンチェックしながら)
「 先生、もうこんなん繰り返すの嫌だし手術する」
「だね。その方が良いかも。ちょっと前あけて」(管の入り口をガーゼ外してチェックして、聴診器で胸の音を聞く)
「ゲホゲホ」(酸素が足りずに空咳が止まらないわたし)
「レントゲン見たけど、まー見事に萎んじゃったね。(笑)これはもう間違いなく自然気胸だから絶対ブラあるよ。手術の詳しい話は明日の朝しようか。今日はもうね、遅いから。どう?背中とか痛くない?」(ドレーンの調節しながら)
「少し痛いけど、前よりはマシ…」
「そっか。Y先生はドレーン入れるの上手だなあ(笑)」
「期待の星だね。かっこいいし」
「ああ、あいつ無駄にかっこいいよなあ(笑)」
「ははは。ゲホゲホ」
「明日さぁ、お家の人って何時くらいに来る?」
「どうだろ。電話すればいつでも来れると思うけど」
「11時くらいに来てもらえるかなあ。で手術の説明を一緒に聞いてもらって。明日の回診の状況でCTやるか決めるとして…。手術は手術室と麻酔医の状況次第だけど、早くて明後日かなあ。もう少し遅くなる可能性もあるけど。まあなるべく早めにやるってことで。元さんもその方が良いでしょ?」
「うん」
「じゃあそういうことで。何かあったらナースコール押してね。明日の11時にまた来ますので」
「はーい」
「じゃあ遅くにごめんね。おやすみ」
「おやすみなさい」
早くて明後日!!!うわー…。
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