日は手術です

O先生の説明の後、看護士が手術の予定表を持って来た。前日の21時以降の飲食禁止とか、当日朝の座薬とか、手術呼び出し1時間前に点滴入れるとか、そーゆう細かいことが書いてある表。

昨日のCTの結果、ブラは小さいのがひとつ確認とれたらしい。でも先生の予測では他にもあると思うとのこと。えー、そんなに幾つも穴があいてんのかよ…。とにかく、もう先生を信じるしかない。


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手術前日は表に書いてあるように、通常の回診や検温の他にもすることがあった。まず、普通は前日にシャワーを浴びるらしい。基本的に。しばらく入れなくなるから。でもわたしの場合、既にドレーンが入っているせいでシャワーは無理。なので洗面所で頭だけ洗った。ドレーンに胸水が逆流しそうな感じでかなり気持ち悪かった。でもわーっと洗って、少しさっぱり。こういう時、短くしとけば良かったなあと思う。ナースステーションドライヤーを借りて渇かしていたら、その日の担当看護士さんがカミソリとクリームを持って来た。アレです。余分な毛を剃られるんです。(笑)子宮系の人はみんなアソコの毛、全部剃るんだよ。手術終わった人がみんなチクチクして痛いって言ってた。わたしはアソコの毛はじゃなくて脇毛。いちばん切るのは脇よりもっと下のドレーンの周辺だけど、脇の下からも器具を入れるそうで。で、看護士に上半身丸裸の状態で脇毛をご披露。(笑)わたし、脇はもともとかなり薄い人だからほとんどなくて、その若い看護士が「うわー、元さん、全然ないじゃん。良いね。わたしなんて、もしゃもしゃだよ!」って。あんた、もしゃもしゃって。可愛い顔してそうなの?(笑)ないけど、一応クリーム塗って剃ってもらった。その後、シャワーの代わりにおしぼりで体をくまなくふいてもらって体の準備は完了。夕食後は何も食べたり飲んだりしないでねと念押しされておしまい。

手術予定を見ると、今日の夕食を食べたら明後日の夜まで何も食べられないらしいので(しかも明後日の夕飯は重湯!)、あんまり食欲なかったけど手術に備えてやけくそで食った。体力体力!こうして無理して食べても、明日の朝、座薬ぶちこまれて全部出しちゃうんだけどなぁ。この日は夕食を食べ終わるまでお母さんがいてくれて、ものすっごい怖い感がそのおかげで薄れた。ひとりでいたら怖くて怖くてたまらんかったと思う。隣の笹島さんは昼から一時帰宅しちゃって(抗ガン治療の人は時々帰れる)、向かいの川澄さんは術後だいぶ経つのに胃と腸の調子が悪いみたいで普通食が食べられないままずっと点滴で、(子宮全摘だから胃や腸は悪くないのに…)隣の病室の若い女の子(たぶん大学生)がICUから戻って来たり(心臓の手術だって!)、小児外科じゃないけど心臓の手術をするからってことでこの病棟にいる1歳くらいの男の子がものすっごいでかい声で泣いていたり(採血が嫌だったみたい)、なんか病気の人って世の中にはたくさんいるんだなぁとしみじみと思った。みんな、こうして手術前の恐怖を感じて、不安なんだけど祈るくらいしかできることがなくて。明日の今頃はもう手術が終わっているのかなーなんて、ぼんやり考えていた。


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お母さんが帰った後、公衆電話で彼氏の携帯に電話をした。きっと残業中で出られないけど。留守番電話にメッセージを残しておいた。明日、手術するよって。

就寝時間が過ぎて間もなく、O先生が様子を見に来てくれた。今日初めて会った。珍しく手術着じゃなかった。(笑)でも白衣でもなかったけど。なんていうのかな。白い巨塔で柳沢先生(伊藤英明)が着ていたようなやつね。先生、チビだからたぶん白衣がないんだよ。(笑)先生は「眠れそうもなかったら軽い睡眠薬を出すけどどうする?」と聞いてきた。でも、食後に飲んだ痛み止めのせいで少し頭もぼんやりしていたし、ドレーンと酸素マスクでどうせ寝返りもできないから、薬で爆睡しない方が良いかなと思って断った。先生は「明日は頑張ろうね」と言ってカーテンから出て行った。

絶対眠れないと思ったけど、途切れ途切れでもかなり眠れた。明日の夜はどんな風なんだろう。痛いのか、それとも麻酔が抜けきらずに眠りっぱなしか。想像できない。


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