術ですよ! その2

左にはドレーン。右には点滴。もう動くのも億劫になる。トイレ行くにもドレーンと点滴の両方連れて行かなきゃいけない。水さえ飲んでいないのに、どうしてこうおしっこが出るのかなあ。人の体って不思議がいっぱいだ。

W先生がしてくれた点滴がどうしても痛い。見た感じ針の周りが紫色になっているし。これはいくらなんでもおかしいんじゃないの?と思って通りすがりの看護士に聞いてみた。「ありえんくらい痛いだけど」と訴えたら、「手術用の点滴は針がものすっごい太いからいつもより痛いよ」と諭された。そう言われたらそういうもんなのか…と従うしかない。でも紫色っておかしくないのかなあ。この点滴だって明日の夜まで外せないっていうのに。(そう予定表に書いてあった)うーん…。

13時になったところで点滴に安定剤(?)を入れられた。これは麻酔を効きやすくするものなんだって。それを入れたらなんか血が冷たくなって、違うか、なんて言うんだろ、スーっとするの。湿布みたいに。血液が。(笑)説明できない。全身が中からスーっとする感じ。かなり良い気持ちだった。


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一応予定時刻の14時を過ぎても呼び出しがかからなかった。看護士がいつ呼ばれてもすぐに行けるようにしておいてと言うので、コンタクトレンズを外し、ピアスも全部外しておいた。でもパジャマのズボンとパンツは脱がない。それは最後で良いでしょ。まだトイレ行くかもしれないし。(あ、手術の時はノーパンで行くんですよ!)

あまりの待ち時間に手術に対する緊張のピークは峠を越して下降気味。何が辛いって飲めないのが辛い。お茶うがいの効果もほんの数分だし。15時過ぎたところでおばさんが来た。同じ病棟の7階に入院中のおじさんの見舞いのついで。おばさんが来たのと同時に看護士が来て「元さん、呼ばれましたのでー」って。病室にストレッチャー到着。パジャマのズボンとパンツ脱いで、眼鏡も外して、ストレッチャーに乗ったら足首に識別タグをつけられた。遊園地の乗り放題で腕に巻かれるようなやつ。名前と生年月日と担当医の名前が記入してあってバーコードもついていた。こーゆうので患者取り違えミスを防いでいるんだね。

ドレーンを足の間に挟んで、点滴は看護士が持って来てくれて、お母さんとおばさんも横に並んで一緒に着いてきてくれた。こーゆうのはドラマと一緒。病棟は東3階で中央手術室も東3階。(笑)だからこの道のりは非常に短い。

中央手術室の向かいにICUがあって、ちょうど真ん中に関係者待合室(?)がある。手術患者の家族はそこでずっと待たなきゃいけない決まりで。それは手術中に「万が一」のことがあったら、自分の意志を伝えられない患者に代わって家族に決断を委ねるためなんだって。そういう誓約書も確かあったな。


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中央手術室の前でお母さんとおばさんとはお別れ。看護士が足で自動ドアを開けて(足でどっかを踏むと開くしくみ)中に入った。ここからは未知の世界。まずステンレスの無機質な無駄にでかいカウンターがあって、ストレッチャーからそのカウンターの上に移される。もちろん寝たままの状態で。病棟看護士とカウンターの向こうにいる完全装備のオペ看の申し送り。患者名、生年月日、手術名、執刀医などなど。申し送りが終わるとオペ看がわたしに「名前と生年月日をお願いします」と聞いてきてそれに答える。念には念を…という感じ。確認が終わるとシャワーキャップのよなものを頭に被さられた。髪の毛全部中に入れて。これってたぶんかなり間抜けな姿だよね。(笑)それからカウンターの上から今度は反対側に用意された別のストレッチャーに移動。これで病棟看護士とオペ看の引き継ぎは終わりらしい。病棟看護士2人が「終わったら迎えに来るからね。がんばって!」と声をかけてくれた。


わたし、視力が両目とも0.1以下で、この時は眼鏡もコンタクトもしていないから、ほとんど世界がぼやけていたんだよね…。もっとちゃんと見れたら良かったのに。


「じゃあ手術室に行きますねー」と言われてストレッチャーが動き出したら、カウンターの向こうに別の患者さんがいた。手術ラッシュ…。(笑)そういえば朝、X線検査に行く途中、中央手術室前を通ると手術室待ちのストレッチャーが3台くらい並んでいるっけ…。朝はラッシュなんですよ、オペ室は。朝の手術はみんな9時かららしいしね。

視界がぼやけているからはっきりはわからなかったけど、この中央手術室とやらはすっげ広い。

病院のサイトより拝借。見にくいけど。こんなに手術室があるんだよ。びっくりだね。わたしの場所はたぶん…ってこと。突き当たりだったし、たぶんここ。ここ一室でも15帖くらいあるんだよ。

よくドラマとかで、手術中っていう赤いランプがついていて、その外で家族とか待ってたりするじゃん。あーゆうのは、たぶん最近の大きい病院ではありえないってことだよ。一般の人は中央手術室の中に入れないし、その中央手術室の中に手術室がたくさんあって、その一部屋ごとにあの赤ランプがあるんだし。


もうここまで来たら祈ることすら忘れる。



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